TS-1000 系台車(ボルスタレス)

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東急車輛製造では1970年代にボルスタレス台車の開発に着手し、軸梁式の TS-1001 型とペデスタル式の TS-1002 型を製作。さらに TS-1002 型を基に、基礎ブレーキ装置をユニットブレーキから当時電動車で一般的だった踏面式に変更した TS-1003 型を製作し、デハ6202 に履かせて各種試験を行いました。

これらの試験ののち、1986年の9000系にて量産台車が採用され、以降の鉄道線車両の標準となっています。

形式 製造初年 最多履数 履用車両 現状 備考
TS-1001 1両 8000系(デハ8402) 消滅 試作台車
TS-1002 1両 デハ3550形(デハ3552) 消滅 試作台車
TS-1003 動力 1両 6000系(デハ6202) 消滅 試作台車
TS-1004 動力 59両 9000系 現役
TS-1005 付随 58両 9000系 現役
TS-1006 動力 82両 1000系 現役
TS-1006A 動力 1両 1000系(デハ1362) 消滅 TS-1006 の改造
TS-1007 付随 32両 1000系 現役 デハ1350形からの付随車化改造車1両を含む
TS-1010 動力 18両 2000系→9020系 現役
TS-1011 付随 12両 2000系→9020系 現役
TS-1019 動力 42両 新3000系、Y000系 現役
TS-1020 付随 42両 新3000系、Y000系 現役
  • TS-1011, TS-1002 型の製造年は東急車輛技報 No.37「TS-1003型ボルスタレス台車について―その1―」p.13 より。
  • TS-1003 〜 TS-1007 型の製造初年は鉄道ピクトリアル 1989年10月号(No.518)「国鉄・JRおよびメーカー別の台車リスト(Ⅲ)」p.109 より。
  • TS-1010 〜 TS-1011, TS-1020 型の製造初年は車両入籍日からの推定。
  • TS-1019 型の製造初年は現車調査による。

TS-1004 型

TS-1004 動力台車

デハ9208(3次車)上り方山側

1986年登場の9000系が履く台車は、従来の TS-800 系を踏襲してペデスタル式の軸受けとなっているほか、軸箱も共通ですが、側梁の彎曲は浅くなっています。牽引装置(回転装置)は中心ピンに通した牽引梁と緩衝ゴムによって構成されます。

ボルスタ付き台車と比較してもっとも目立つ外観の違いは側梁中央部のボルスタアンカーがないことで、代わりに突き出た横梁の2本の丸棒が目立ちます。3次車の途中から(9010F 以降)はこの横梁間の繋ぎ梁の溶接方が変更され、よりスマートな見栄えになりました。

また、1990年代初頭には電食軽減の対策が採られており、接地開閉器から接地装置までの配線インピーダンスの均等化や車体間との絶縁強化などのほか、デハ9200形とデハ9600形(すなわち編成両端の M 車)の台車のうち、向かって左側の軸受にフランス・フェラーズ社(現:メルセン)製による軸端式の接地装置(写真)(リンク先写真はデハ9209 上り方山側)が追設されています。

本来9000系用として製造された台車ですが、譲渡車両においては1000系に転用された例もあり、一畑電車デハ1002 が前期型を、伊賀鉄道モ205 および一畑電車デハ1001, 1003 が後期型を履用しています。

TS-1005 型

TS-1005 付随台車

クハ9007(2次車)上り方山側

クハ9109(3次車)上り方山側

9000系の付随台車で、基礎ブレーキ装置は従来の8000系と同じく、動力台車の片押式踏面ブレーキに対してディスクブレーキとなっています。

2枚目写真は軌条塗油器が追設された車両の台車です。TS-815 型TS-835 型のように左右の軸箱部から油噴口までバーが渡されていますが、TS-800 系台車と比較して側梁の彎曲が浅くなった反面、バーはよりレールに近い低位置となったために側梁から大きく離れているのが印象的です。また、油噴口は牽引装置との干渉を避けるためか中央からややずれた位置への搭載となっている点にも注目したいところです。もともとボルスタレス台車を履いた9000系以降の新造車には塗油器が搭載されず、1999年に登場したY000系と新3000系でようやく搭載車が現れました。後に改造工事により2000系や1000系の譲渡改造車にも搭載車が現れ、2011年になってようやく9000系にも設置された経緯があります。

また全車両が大井町線に集結後、先頭車の運転台方台車には後述する TS-1007 型と同じタイプの踏面清掃装置が追設されました。

動力台車と同じく1000系譲渡車に転用された例もあり、一畑電車クハ1101, 1102 が前期型を、伊賀鉄道ク105 および一畑電車クハ1103 後期形を履用しています。

TS-1006 型

TS-1006 動力台車

デハ1223(4次車)上り方山側

地下鉄日比谷線乗入れ用として1988年に導入された1000系は、先代の乗入れ車である7000系と同じく床面高さが他の車種より 45mm 低い 1125mm となっています。そのため9000系の台車と比較すると、軸ばね寸法が変更されて側梁の位置が低くなったほか、肩部の形状が異なるなど若干の差異がみられます。

TS-1006A 動力台車

デハ1362(3次車)上り方山側

2003年の東横線 1010F 組替えに伴い、長らく営業を外れていたデハ1362、デハ1363 が復帰しましたが、このうちデハ1362 の台車は TS-1006A 型とされ、復帰当初は側梁の向かって右側に改造銘板が設置されていました。

TS-1007 型

TS-1007 付随台車

クハ1101(1次車)上り方山側

クハ1015(4次車)上り方海側

1000系の付随台車で、動力台車と同じく高さを抑えて日比谷線乗入れに対応しています。

東横線クハ1000形、クハ1100形の台車には後年になって側梁両端にコイルばねによる踏面清掃装置が追設されました。池上線、多摩川線の1000系はその後も設置が行われず、2014年に始まった1000系1500番台の転籍に際しても当初はわざわざ撤去が行われたくらいでしたが、こちらも後に運転台方台車のみ追設工事が行われました。

2枚目写真はフラット防止装置(写真)(リンク先写真はクハ1015 山側)を搭載していたクハ1015 のもので、検知装置が設置されており、軸箱も特殊な形状となっていました。当車は2008年に上田電鉄に譲渡されましたが、譲渡に際しフラット防止装置は撤去され、台車軸箱も通常タイプに復旧されています。

TS-1010 型

TS-1010 動力台車

デハ2453(2次車)上り方山側

田玉線の増発対策として1992年に導入された2000系の台車は、側梁形状などに9000系の面影が残るものの、軸受け部を中心に改良が成されており、印象は大きく異なります。

軸箱支持は直上のコイルと両脇に設けられた円筒ゴムによって支持する方式に変更され、牽引装置は中心ピンと横梁を Z 字型のリンクで結んだZ リンク方式となりました。また、主電動機は7000系以来続いた中空軸をやめて中実軸となり、駆動装置には TD 継手を使用しています。

電動台車のみにみられる特徴として、向かって左側の軸受けには軸端接地装置が取り付けられており、以降の鉄道線新造車両にも採用されています。

TS-1011 型

TS-1011 付随台車

クハ2101(1次車)下り方海側

クハ9022(1次車)下り方山側

2000系の付随台車で、9000系、1000系と同じく基礎ブレーキ装置は動力台車の片押式踏面ブレーキに対してディスクブレーキとなっています。従来、先頭台車の排障器はペデスタル部に取り付けられていましたが、軸箱支持方式が変更されたため側梁から伸びるものとなりました。

2枚目写真は軌条塗油器が追設された車両の台車です。これは2003年にクハ2000形2両(2001、2002)へ追設されたもので、連結面方台車に油噴口が設けられています。

さらに近年になって9000系の TS-1005 型と同じく、先頭車の運転台方台車に踏面清掃装置が追設されました。ただし台車の先頭方向はすでに排障器が取り付けられているため、後方1か所のみの取り付けとなっているのが特徴です。

TS-1019 型

TS-1019 動力台車

デハ3404(2次車)下り方海側

1999年に登場した新3000系の電動車に使用されている台車です。軸箱支持は軸梁式となり、固定軸距は従来より 100mm 短縮され 2100mm となりました。また当形式から基礎ブレーキ装置が変更され、対応する付随台車ともに片押式踏面のユニットブレーキ(写真)(リンク先写真はデハ3407 上り方山側)となりました。軸受は TS-332 型に続いて密封式が採用されています。

同じ年に登場したこどもの国線用Y000系にも同形式の台車が使用されていますが、路線に急カーブを抱えているため防音車輪(写真)(リンク先写真はデハY011 上り方山側)が使用されています。

TS-1020 型

TS-1020 付随台車

クハ3104(2次車)下り方海側

新3000系、Y000系の付随台車で、基礎ブレーキ装置は動力台車と同一です。そのため、違いとしては主電動機や軸端取付接地装置を搭載していない程度で、外観はほぼ同じものとなっています。

クハ3100形の一部とクハY000形全車には、TS-1000 系台車としては初めて軌条塗油器が設置されました。TS-800 系台車と同じく、油噴口を左右の軸箱部からバーで支える方式ですが、設置位置が低くなっています。また、TS-800 系履用車では先頭車に塗油器を載せる場合、油噴口は連結面方台車に設けられていましたが、本形式では運転台方台車となっています。

2007年にはクハY000形に摩擦緩和システム(FRIMOS: Friction Moderating System)(写真)(リンク先写真はクハY002 下り方山側)が追設され、連結面方台車に噴射口の架台が取り付けられています。