アニメ放送を控えた『かくしごと』の聖地巡礼

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『かくしごと』が4月にTVアニメ化(kakushigoto-anime.com)されることになり、キャラクタービジュアルやPVも続々公開されています。

元々、原作漫画(www.gmaga.co)が実在の場所を舞台にしているため(主人公の自宅のある中目黒周辺と、倉庫のある鎌倉)、いわゆる「聖地」が数多く存在するのですが、この機会にまとめてみました。

中目黒周辺

主人公・後藤可久士の自宅のある中目黒周辺は作中でもっとも頻繁に描かれています。コミック第1巻では70~71ページに見開きで「ざっくり舞台MAP」が掲載されており、道路の曲がり具合や建物形状などは実在のものに近いため、1巻を片手に中目黒、代官山周辺を歩いてみると面白いです。

「都立第一商高」交差点

その中でももっとも主要な場所と言えるのが旧山手通りの「都立第一商高」交差点。ここは可久士がスーツから私服に着替える古着屋(マリオの店)があるところで、作中では第1話冒頭から何度も描かれているほか、アニメの後藤可久士キャラクタービジュアル(kakushigoto-anime.com)の背景にもなった場所です。

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写真1:「都立第一商高」交差点(2020年1月撮影)
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図1:後藤可久士キャラクタービジュアル(公式サイトより)

作中でここは目黒区と渋谷区の区境とされていますが、実際にこの交差点も区境になっています。そして、交差点の角には黒い2階建ての店舗がありますが、その位置と外観からマリオの店(マリオネットランチマーケット)のモデルと思われます。これも作中でたびたび登場しており、後藤可久士キャラクターPV(YouTube)でも描かれています。

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写真2:交差点角にある黒い2階建ての店舗(2020年1月撮影)
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図2:後藤可久士キャラクターPV 00:07 のカット

ちなみに、この店舗「FREECITY」の公式サイト(www.freecityjapan.com)によると、2013年にオープンしたものの2020年5月31日に閉店してしまうとのことです。建物自体の存続可否は不明です。

蔦屋書店

「都立第一商高」交差点から東側に目視できる距離に代官山 蔦屋書店(store.tsite.jp)があります。ここも作中に何度が登場していますが、コミック第1巻「たずねびと」で描かれたカットを意識して撮ってみました。

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写真3:入口に「蔦屋書店」の看板のある白い建物(2020年1月撮影)
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図3:作中で描かれた蔦屋書店(第1巻 p.63)

代官山駅

後述する鎌倉では江ノ電の駅や車両がたびたび登場するのとは対照的に、自宅や仕事場で鉄道が登場するシーンは多くありません。可久士の移動手段は主に徒歩で、たまにタクシーに乗るくらいでしょうか。しかし G-PRO のアシスタントたちはさすがに列車通勤のようで、コミック第5巻「かってに白コマ」では亜美が代官山駅から東横線で帰宅する様子が描かれています。

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写真4:代官山駅上りホームから中目黒方を向いた様子(2020年1月撮影)
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図4:作中で描かれた代官山駅ホーム(第5巻 p.104)

目黒銀座商店街

作中で「中目黒商店街」の看板のある商店街は、中目黒駅の南側にある目黒銀座商店街がモデルではないかと思います。近日中に訪問予定なのでその際に写真を追加します。

鎌倉周辺

後藤家の倉庫があるのは江ノ島電鉄の七里ヶ浜駅近くで、作中ではたびたび江ノ電の車両や駅が登場します。

江ノ電300形

江ノ電では現在6種類の車両が活躍していますが、作中ではもっとも古い300形が描かれることがほとんどです[1]。久米田先生のお気に入りの車両なのかもしれませんが、もっとも「江ノ電らしい」車両なので、鉄道に詳しくない読者でも江ノ電であることが認識しやすいように、記号的な意味で選定されている可能性も考えられます。

この300形は徐々に新型車両に置き換えられてしまい、現在では 305-355 の1編成のみが残っている状況なので、遭遇するには長い時間待たなくてはいけなかったり、運が悪いと車庫でお休みという可能性もあったりするので注意が必要です。

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写真5:江ノ電305編成(2019年3月撮影、峰ヶ原信号場―七里ヶ浜駅)
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図5:作中で描かれた江ノ電の車両(第3巻 p.1)

七里ヶ浜駅

後藤家の倉庫の最寄り駅は七里ヶ浜駅。原作漫画ではコミックのカラーページを中心に何度も登場するほか、2016年のコミック第1巻発売時に制作されたシャフト制作のPV(現在は公開停止)でも描かれました。

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写真6:七里ヶ浜駅の出入口を外から見た様子(2019年3月撮影)
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図6:シャフト制作PVで描かれた七里ヶ浜駅の出入口
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写真7:七里ヶ浜駅の出入口をホームから見下ろした様子(2019年3月撮影)
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図7:単行本カラーページで描かれた七里ヶ浜駅の出入口(第6巻 p.1)
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写真8:七里ヶ浜駅のホーム(2019年3月撮影)
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図8:単行本カラーページで描かれた七里ヶ浜駅ホーム(第1巻 p.1)

七里ヶ浜駅の裏手の階段

鎌倉の倉庫はコミック第1巻冒頭のカラーページでメジャーな観光地駅の裏手 階段を100段上がった所にありましたとあります。実際、七里ヶ浜駅の裏手は急な崖になっており、徒歩でしか上がれない階段がいくつか存在します。

駅から藤沢方面に歩き、一つ目の小さな踏切を渡った先の小道は作中で何度か描かれている風景と似ており、とくに第6巻のカラーページにはそっくりな光景が描かれているのでここで間違いないでしょう。後藤姫キャラクターPV(YouTube)の冒頭にも出てきますね。

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写真9:急な階段の上から線路や海を見下ろした様子(2019年3月撮影)
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図9:単行本カラーページで描かれた階段(第6巻 p.133)

その他の場所

東京女子医科大学病院

単行本のカラーページの時系列では可久士が入院していることになっていますが、最新の第10巻では入院先が東京女子医科大学病院(www.twmu.ac.jp)であることが判明しました。

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写真10:屋上に「東京女子医大病院」の看板のある赤茶色の建物(2009年5月)
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図10:単行本カラーページで描かれた病院(第10巻 p.2)

病院外観の写真はWikimedia Commons で公開されている写真(commons.wikimedia.org)をライセンスに則り転載しています(トリミング、明るさ補正の加工済み)。

観音埼灯台

コミック第1巻 p.73 の扉絵、および第3巻の表紙に描かれた灯台は三浦半島にある観音埼灯台(www.tokokai.org)です。

久米田先生の Twitter アカウント(Twitter)はアイコン画像のみが時々変わりますが、2019年10月17日にはわずか1時間ほどの間だけこの灯台の写真になっていたこともあります。実際に行かれていたのですね。

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写真11:海をバックにした白い灯台の写真(2019年10月撮影)
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図11:単行本3巻表紙

神奈川県立近代美術館 葉山

単行本のカラーページでは十丸院と羅砂が2人で鎌倉近辺を巡っていますが、第7巻~第9巻では神奈川県立近代美術館の葉山館(www.moma.pref.kanagawa.jp)を散策しています。

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写真12:2階部分がガラス張りの白い建物(2019年3月撮影)
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図12:単行本カラーページで描かれた神奈川県立近代美術館・葉山館の外観(第7巻 p.150)
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写真13:海をバックにガラス張りの屋根が架けられた通路(2019年3月撮影)
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図13:単行本カラーページで描かれた神奈川県立近代美術館・葉山館の通路(第7巻 p.150)
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写真14:「こけし」のオブジェが2体置かれた中庭(2019年3月撮影)
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図14:単行本カラーページで描かれた神奈川県立近代美術館・葉山館の中庭(第7巻 p.151)

なお、葉山館は2020年1月~6月の間、改修工事のため展示休止(www.moma.pref.kanagawa.jp)となっているようです。野外の散策路や彫刻は通常どおり見られるとあるので、聖地巡礼目的なら影響は少ないと思いますが、それも日によっては閉鎖される場合があるとのことなので、訪問の際はご注意ください。

下灘駅

コミック第3巻 p.113 の扉絵は、瀬戸内海をバックに風光明媚な景色が見られる駅として有名な下灘駅(愛媛県)と思われます。

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写真15:海をバックに簡素な屋根とベンチのあるホームの写真(2010年5月)
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図15:単行本の扉絵(第3巻 p.113)

下灘駅の写真はWikimedia Commons で公開されている写真(commons.wikimedia.org)をライセンスに則り転載しています。

湯前まんが美術館

第9巻では可久士と姫が熊本出身の漫画家の家を訪問しますが、「役職のネバーランド」では湯前まんが美術館(yunomae-manga.com)が描かれます。

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写真16:美術館の全景(2017年10月撮影)
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図16:作中で描かれた美術館(第9巻 p.95)

美術館のある湯前町では2015年11月に「2015ゆのまえ漫画フェスタ」の一環で久米田先生を含む複数の漫画によるトークショーとサイン会が行われ(当時の参加記事)、2017年8月~10月にはこの美術館で「久米田康治のかくしごと展」が行われたので(当時の訪問記事)、訪問したことのあるファンも多いかと思います。今でも美術館の中には「2015ゆのまえ漫画フェスタ」の時に描かれたイラストが展示されているので、そういう意味でも久米田作品全体の「聖地」と言えるでしょう。

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写真17:村枝賢一、河合克敏、久米田康治、皆川亮二によるイラスト展示(2017年10月撮影)

計12か所の「聖地」を紹介しましたが、他にも実在の場所をモデルにした場所は数多く存在するものと思われますし、アニメでも登場することが期待されます。シャフト制作の『さよなら絶望先生』や『かってに改蔵(OVA)』とは大きく異なる仕上がりになると思いますが、ここで紹介した舞台がどのように描かれるかも含めて4月2日の放送開始を楽しみに待ちたいところです。

  • [1]第7巻 p.3 では珍しく1000形らしき車両が走っています。