「LUPIN THE THIRD」2020展

公開日

2020年7月23日~8月10日に有楽町マルイで開催されている「LUPIN THE THIRD」2020展 ~ハードで危険。ヤツらが帰ってきた…!~(www.acgateway.com)に行ってきました。

『次元大介の墓標』『血煙の石川五ェ門』『峰不二子の嘘』の3作の設定画や絵コンテ、原画などの資料を展示した、原画展のようなイベントです。

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写真1:会場の様子
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写真2:ルパン、次元、五ェ門、不二子、銭形のキャラクターパネル

絵コンテは3作品ともかなり長い分量が展示されており、その中には実際の映像ではカットされたり演出が変更されたシーンも含まれます。続編での展開に関係しそうな重要なものもあったので、とくに気になったやつを紹介します。

ガールフレンドと喧嘩したルパン?

まずは『次元大介の墓標』後篇のカフェのシーン。ホットコーヒーを運んできた店員がルパンの顔を見て「お客さんその傷……いえ何でもありません」と言うセリフ。

これ、劇場で観たときちょっと不思議に思ったのです。店員は顔の傷に言及しながらなぜ会話を止めたのか。実はこの店員は裏社会の人間で「こいつはヤエルとやり合ったのか」と思いつい声を掛けたものの、悟られるとマズいと気付いてすぐに「何でもありません」と誤魔化したのかと深読みしていたのですが、その答えは絵コンテにありました。

絵コンテでは実際の映像では省かれたこんなやりとりが書かれています。

(戻ってカフェ)ファイルのボタンを開け閉めしているルパンの元にコーヒーが運ばれる

店員「(コーヒーを置いて)コーヒーをお待たせしました」

コーヒーを口に運ぶ

店員(コンドル)29才 チェックシートをビンの下にはさむ

ルパン「お、ありがとさん」

店員「(ルパンのキズを見て)お客さん、そのキズどうされたんですか?」

※ルパンイヤホンしてます(右耳)

ルパン「ちょっと赤毛のお友達(※ピアノマンのこと)とケンカしてね」

店員「…(赤毛)?」

※赤毛のお友達をガールフレンドとかんちがいしてガテンのいく店員

…あ~(うん、うんとうなづき去っていく)

ルパン「…?」

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図1:コーヒーが運ばれるシーンの絵コンテ
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図2:店員とルパンが会話するシーンの絵コンテ

なるほど、ガールフレンドと喧嘩したと勘違いしてのあのような反応だったのですね。とくに伏線とか深い意味はなかったようで、ずっとモヤモヤしていたものがすっきりしました。

それにしても、モブキャラに過ぎない男性店員の年齢と名前(?)まで設定があったとは。

ヤエルの心臓を打ち抜く

もうひとつ『次元大介の墓標』後篇で、ラストの一騎打ちで次元がヤエルの左腕を打ち抜くシーン。絵コンテだと心臓を打ち抜いてヤエルが断崖から落ちていくようになっていました。

足元にしたたる鮮血

銃を持つ手をよけて見ると胸に開いた穴から光が差し込んでいる。

宙を落ちていくヤエル奥崎

断崖を岩に当たりながら落ちていく

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図3:胸に穴が開いたシーンの絵コンテ
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図4:ヤエルが落ちてゆくシーンの絵コンテ

実際にはあえて心臓ではなく腕を骨ごと砕くことで、命は生かしつつ「ガンマンとしてのヤツは死んだ」のセリフに繋がるというカッコイイ演出になっただけでなく、後に『峰不二子の嘘』で再登場した際の身体の変化の注目点にも繋がるわけで、この変更はGJだと思いました。

屋敷に戻ったホーク

『血煙の石川五ェ門』後篇の最後にお蔵入りシーンの絵コンテがありました。

この作品は『墓標』や『嘘』とは異なりED後のパートはないのですが、当初予定ではホークがアジト(前篇の冒頭で描かれた屋敷)に帰るシーンが予定されていたことが小池監督のインタビューで語られています。

――制作の過程で、変更になった要素はありましたでしょうか。

実はカットになった部分があって……。一番最後にホークがアジトに帰っていくシーンがあったんですね。そこは多少今後の伏線、ネタバレになるようなシーンが入っていたので。

――いわゆる"黒幕"の影が少し見えると。

そうですね。もし今後続編がある場合に、現時点では見せるのがまだ早いという意見がありました。自分の中では、ホークのアジトのシーンから始まるので、最後もアジトでおさめたいというような気持ちがあったんですけど、そこは本当に最後まで悩んだところですね。

「ルパン三世」最新作『血煙の石川五ェ門』、物語を生み出した一枚のメモと幻のラストカット - 小池健監督を直撃(news.mynavi.jp)

このように、続編のネタバレになるため時期尚早と判断されたシーンですが、今回の展示会ではその部分が公開されていました。

以下、3作目の『峰不二子の嘘』を観ていない方には重大なネタバレになる内容が含まれているのでご注意ください。

ラベンダーの並木道をかけているサリファ

サリファ「ホークー! ホークー!」

ラベンダー並木んの道を走るサリファ

ホーク だきかかえる

孫とおじいさんのようなほほえましい光景

ホーク「サリファ様 只今戻りました」

サリファ心配そうにホークの右腕を見る

サリファ「おかえり、ホーク あれ…(心配そうに)その腕どうしたの」

ホーク「あ~~、たいしたことはありませんよ、サリファ様、どうぞご心配なく」

サリファ「ふぅーーん そうなんだ… そうだ、新しいお友達が来たんだよ」

サリファ「(無邪気に)ホーク2号よ」

奥にはホークと同じ顔姿の男が立っている

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図5:ホークがサリファを抱き抱えるシーンの絵コンテ
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図6:ホークに抱えられたサリファと会話するシーンの絵コンテ

なるほど、これは衝撃的であると共に合点がいきました。というのも、『嘘』で再登場したヤエルは次元に撃たれた左手が義手だったのに対して、同じく五ェ門に右腕を落とされたはずのホークは義手ではなかったことが不思議だったのですが、別の素体だとすれば納得がいきます。

この「ホーク2号」が兄弟なのかロボットなのかクローンなのか、その正体は明かされていませんが、『墓標』のラストに登場した彼が黒幕だとすれば容易に想像が付くでしょう。あるいはそれはミスリードの可能性もありますが……。

それにしてもサリファお嬢様は純粋な少女かと思いきや、この絵コンテを見ると「無邪気に」と注釈はあるものの、ちょっと印象変わってしまう感じですね。