台湾島を鉄道で一周 ~2日目・虎尾のサトウキビ列車編~

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1日目・普快車編の続き、2019年1月27日(日)の旅行記です。

虎尾の街のホテル(登豐米蘭商務旅店(www.booking.com))に泊まり、7時に朝食バイキングを食べてから街へ繰り出します。この日の目的は現役で残る虎尾製糖のサトウキビ列車。現役で残っているのは北港線の一部と馬公厝線ですが、分岐する路線はすべて廃止済みのため実質1本の路線となっています。

泊まったホテルは線路の至近距離にあり、部屋の窓から顔を出せば踏切が見える程です。とりあえず線路沿いに列車の拠点である虎尾製糖まで歩き、工場の入口にある踏切にやってきました。

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写真1:虎尾製糖を出て最初の踏切
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写真2:踏切から工場内の留置線を覗いた様子

この踏切には3本の線路が敷かれており、往時は多数の列車が行き交っていたであろうと思われます。現在使用されているのはそのうち中央の1本だけで、写真手前の線路はレールは残っているものの使われている様子はなく、また奥側の1本はレールが撤去されて遊歩道になっており、3つ目の踏切で突然痕跡が途絶えるので、もしかしたら(本線ではなく)入れ換え用の引上線だったのかもしれません。

踏切から工場内を向くと、留置線にはサトウキビを運搬する無蓋車のほか、平車小型で側板のないタイプの貨車も見えます。後者は何に使っているのでしょうか。またレールは一部3線軌条が残っており(廃止された斗南線のもの?)、興味をそそられます。

しばらくすると線路点検をしていた作業員が踏切小屋にやってきたので、列車の運行予定を尋ねると8:10に出るとのこと。日曜日なので運休も覚悟していましたが一安心です。

145号線(林森路)と交差する踏切で待ち構えると、少し早めの8:06に列車がやってきました。工場から装車場へ向かう列車なので、貨車には何も積まれていません。

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写真3:市街地の踏切を渡るサトウキビ列車(8:06)
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写真4:最後尾の貨車には後部標識なのか赤旗が挿されている(8:07)

ここは踏切警手の方がいたので(といっても地元のおばちゃんのような風体)、通過後に次の列車の時刻を聞くと「すぐ」とのこと。どうやら続行でもう1本出発するらしいです。ひとつ工場側の踏切を渡る道路では、朝市なのか露店で野菜や果物を売っており、雰囲気が気に入ったので望遠気味に街の風景を入れた構図で撮ってみました。

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写真5:露店で賑わう街中をゆくサトウキビ列車(8:13)

次は工場へ戻ってくる列車を郊外で撮りたいのですが、虎尾駅で行っているレンタサイクルは撮影後に虎尾に戻ってこなくてはならない制約がありますし、明確な目的地(撮影地)が分かっていない中でタクシーを使うのも気が引けるので、徒歩で行けるところまで行ってみることにします。

線路はすぐに市街地を抜け、畑が広がる郊外を進んでいきます。

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写真6:北港線が分岐していた後壁寮駅の前後には色灯式信号機も残されている(ここは複線区間で草木に埋もれて見えないが右側にも線路が残る)

新幹線(台灣高鐵)をくぐる手前の踏切脇には、廃止になった方のレール上に2軸有蓋車(あるいは車掌車かも)の廃車体が足回りや連結器もそのままに置かれていました。Googleストリートビューで2015年8月時点の写真(www.google.com)を見ると貨車の姿が見えないので、比較的最近に置かれたものでしょう。人が出入りする踏み台が設けられていますが、監視が必要な規模の踏切には見えませんし、近隣の畑作業の休憩所か何かなのでしょうか。

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写真7:派手なオレンジ色に塗られた廃車体(後壁寮駅跡~北渓厝駅跡)

近くの田んぼでは牛による代掻きが行われていました。今の時代にこんな光景が見られるとは……。牛の口にバケツが付けられているのは、跳ねた泥水が掛からないための工夫ですかね。

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写真8:牛による代掻き

新幹線の高架橋をくぐると崙背線が分岐していた北渓厝駅の跡があり、複線(単線並列?)はここまで。ここからは単線となり、改良場駅跡を過ぎたところで遠くに機関車の姿が見えました。サトウキビを積んだ列車が帰ってきたようです。

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写真9:改良場駅跡の付近を走るサトウキビ列車(9:21)

さらに進むと、最初の装車場である9号装車場にたどり着きました。場所的には台糖虎尾畜殖場の目の前になります。そしてすぐに続行の工場行き列車が通過しました。ここまで、8時台に市街地の踏切で撮ってから徒歩で1時間半ほどです。

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写真10:本線のほかに2本の線路を持つ9号装車場
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写真11:9号装車場の積載施設
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写真12:9号装車場に留置されている貨車と連結したトラクター
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写真13:9号装車場に留置されている貨車(左)と、通過する工場行き列車(右)(9:53)

さて、これでサトウキビを積載した列車は2本とも工場へ戻ってしまったので、次の列車の運転可否を知りたいところです。9号装車場のすぐ先に踏切小屋があり(隣接ていた畜殖場駅の駅舎を利用したもの?)、老婆がいたので聞いてみたのですが、Google翻訳アプリを使ってこちらの質問内容は伝わったと思うのですが、先方がスマホの使い方を知らないようで意思疎通ができません。身振り手振りでなんとなく次の列車も運行はされるっぽい雰囲気は感じ取ったのですが、時間は分からないし、でもお茶を煎れてくれたのでとてもいい人ではありました(苦笑)。

次の列車が来るにしても何時間後になるか分からないので、探索はここまでにして工場方面に戻ることにします。北渓厝駅跡の付近まで戻ったところで、車に乗った方から声を掛けられ、「列車を撮りにきたのか」「どこで撮ったのか」などを聞かれます。カメラを下げたまま線路際を歩いていたので、明らかに同業者だと分かったのでしょう。先ほど9号装車場で撮った写真のデータを見せて別れた矢先、工場方面から列車がやってきました。

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写真14:北渓厝駅跡~改良場駅跡の区間を走るサトウキビ列車(10:47)

列車が通過した後、先ほどの車がやってきて乗車を誘われます。夕方には台北に戻らなければならないため、徒歩だとこれ以上列車を追いかけるのも時間的に難しい状況下で、渡りに船とばかりにご厚意に甘えることにしました。この方は3人家族で、てっきり運転者のお父さんに母子が付き合わされているのか思いきや、小学生(?)の息子さんが鉄道好きとのことで、以前に撮ったという別の糖業鉄道の動画を見せて貰いました。この年齢にしてナローゲージの専用鉄道に興味を持つとは将来が楽しみですね(笑)。

そんな会話をしながら10号装車場に到着。貨車にサトウキビを下ろしていたトラクターの作業が終わり、何人かの作業員が後片付けなどをしているところでした。

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写真15:10号装車場の積載施設
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写真16:10号装車場で積載作業中の貨車とトラクター

機関車の姿は見当たらないため、さらに先の装車場を目指します。

次の11号装車場は、トラクターがサトウキビを貨車に投下するための高台が道路上にあるため、普通に線路沿いの道を通るだけで積載施設へ上がるという面白い体験ができます。ここにも貨車が留置されていましたが、人気は無く作業中ではなかったので、投下口の間近まで行って観察します。

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写真17:11号装車場の積載施設
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写真18:11号装車場の投下口

ここも機関車はいなかったので、さらに奥の12号装車場へ向かうと、積載作業が終わって貨車の入れ換え中でした。

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写真19:12号装車場での入換で推進運転をしているところ(11:53)
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写真20:組成が終わり、12号装車場を発車するサトウキビ列車(11:54)

組成が終わった列車は11:54に工場へ向けて発車。午後の便があるのかどうかは不明ですが、お互いこの先は予定があるので、ここで撤収することにします。線路自体はもう一つ先の13号装車場まで続いているので、また機会があれば最奥まで行ってみたいですね。

帰りは新幹線の雲林駅まで送っていただきました。この駅は各駅停車タイプしか止まらず、日中は1時間に1本の頻度。13:12発の列車で台北まではたったの1時間半。便利なものです。

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写真21:高鐵の雲林駅に入線する700T型