Instagramの自動代替テキスト機能を利用してみた(が、微妙だったのでやめたい)

SNSは主に Twitter を利用しているのですが、外出先でスマホアプリから写真を添付する際の代替テキストの入力がやや面倒です。自宅など落ち着いた環境でPCから投稿するときはいいのですが、スマホで長い文章は打ちたくないですし、なにより「あと10秒で乗っている電車が降車駅に着く。10秒あれば画像の選択だけならできるが、代替テキストを入力する暇はない」という時に、代替テキストなしで投稿するか、投稿そのものを後回しにするかの選択を迫られるのはストレスにもなります。

これは個人的な感覚なのですが、仕事や趣味でウェブページを作る際は代替テキストに気を配るのは当然として、SNSでちょっとした短文投稿をするときにまでそのようなことを考えたくはないというのが正直なところです。

そんな折、昨年(2018年)11月に Instagram がAIによる自動代替テキスト機能を提供(instagram-press.com) とのニュースがあり、「Instagram ってアレでしょ、“インスタ映え”とか言ってやたら加工した写真とかアップしているやつ」という偏見を捨ててアカウントを作り、試してみました。

  1. 自動代替テキストの精度
  2. 手動で代替テキストを入力してみる
  3. 代替テキスト以外の機能面
  4. まとめ

自動代替テキストの精度

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Instagram で画像を投稿すると、「画像に含まれている可能性があるもの:XX」のような代替テキストが設定されます。XXの部分は「室内」「食べ物」のようなざっくりした単語です。

いくつか写真をアップしてみました。

代替テキストは「食べ物」。せめて「ラーメン」くらいの特定はしてくれないと、自動機能に頼ることはできないですね。

代替テキストは「夜、高層ビル、空、屋外」。これは妥当なところだと思います。

代替テキストは「室内」。画像内に含まれる文字列を自動判別してくれると嬉しいのですが、そのような機能はないようです。

代替テキストは「写真の説明はありません。」。これはAIでは判別不能という意味なのでしょうか。

……現状、あまり満足できる精度とは言えない感じですね。「ないよりはマシ」程度です。まあリリースされたばかりの機能なので、今後の進化に期待したいところです。

手動で代替テキストを入力してみる

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Twitter のように手動で代替テキストを設定することもできます。以下、Androidアプリでの手順です。

  1. 写真を選択後、キャプション入力画面でいちばん下の「詳細設定」をタップ
  2. 詳細設定画面で「代替テキストを書く」をタップ(装飾のないただのテキストなので、初見では押せるように見えない)
  3. 画像の右側に手動でフォーカスを移し(autofocus して欲しい……)、代替テキストを入力する
Instagram の代替テキスト手動設定手順

やや手順が多いのと、そもそもなぜか正常に文字入力ができない事象が発生します。上記画像では、「らーめん」と入力したつもりが「んめーら」となってしまっています。

文字入力のは明らかに不具合なのでそのうち直ると思いますが、手順が多いのは面倒ですね。

代替テキスト以外の機能面

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アクセシビリティの面以外でも、そもそも写真共有サービスとして個人的に合わないと感じた点がいくつかありました。

  • 投稿画像はデフォルトで正方形にトリミングされる(長方形のままにすることも可能だが、それでも横長すぎる画像は自動トリミングが避けられない。普通にデジカメで撮った縦向き写真すら若干トリミングされてしまった)
  • 右クリックでの画像保存ができない(画像と同じ大きさの空<div>が覆い被さっており、意図的にダウンロードをさせにくいようにしている)
  • PCブラウザからの画像投稿はできない(UA文字列をスマホブラウザに偽装すれば一応できる)

正方形のトリミングはまあ Instagram は元々そういうサービスなのだから文句があるなら別サービスを使えということでしょうけど、右クリックでのコンテキストメニューを隠蔽するバッドノウハウは残念な気分になりました。無断転載等でやむを得ず対策されたのかもしれませんが、少なくとも私的利用のダウンロードは合法なので、自分が投稿した画像は存分にダウンロードしていただきたいですし、そこのユーザビリティを下げてはダメだろうと考えているので、こういう対策がされたサービスを利用するのはちょっとなあ……という思いです。

まとめ

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自動代替テキストの精度はまだ低く、AIに任せてしまうと画像が見えないユーザーには充分な意図が伝わらないケースが多いと思います。

一方で、手動での代替テキスト入力は(入力バグの問題を別にしても)手順が多く、 Twitter の方が簡単です。

また、自動トリミングされてしまったり、画像保存ができない(やりにくい)という問題もあり、個人的な主観では「Twitter のフォロワーに共有したい画像を、代替テキスト入力の手間の問題から Instagram で代行するのは厳しい」と感じました。

「SNSでの投稿画像の代替テキストを投稿者が手入力するのではなくAIに任せる」という方向性自体には賛同しているので、もう少し精度やユーザビリティが向上するのを待つか、あるいは別の画像投稿サービスでAIが導入されるのを期待したいところです。