「鉄道ピクトリアル 東京急行電鉄 1970」にクハ8029の試作SIV写真が掲載

鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション(tetsupic.com) の40冊目として「東京急行電鉄 1970」が発売されました。

8000系、8500系の20m車が登場し、東横線はオールステンレスカー一色になりつつも、いわゆる目蒲3線では旧3000系、旧5000系などの旧型車もまだまだ幅を効かせていた時代です。

本の中身については、巻頭企画を除き過去のピクトリアル誌掲載記事をまとめたものですが、写真の追加などアップデートが行われており、当時の掲載誌を持っていても改めて購入する価値のあるものとなっています。

その中で、「東京急行電鉄8000形系車両の近況」(荻原俊夫)の記事に目を奪われました。1974年9月号掲載のオリジナル記事にはなかった、クハ8029搭載の大容量SIV試作機の写真が掲載されているのです。

p.70 に掲載されたクハ8029の試作SIVの写真

1971年の8019Fから始まった東急の冷房車は、当初は大容量SIVの実用化が間に合わず140kVAの電動発電機(MG)を搭載することで始まりましたが、1974年には架線電圧をチョッパインバータを使用して降圧する大容量SIVの試作機が開発され、クハ8029に搭載して約1年間の営業試験が行われました。

当時の鉄道雑誌では掲載スペースの都合もあってか、試験搭載の事実には触れられていてもその詳細や実車写真の掲載にまで踏み込んだ記事は皆無であり、機器の詳細は「電気車の科学」1994年4月号(静止形補助電源装置 特集)、機器写真は「鉄道ピクトリアル」2017年3月号(東京急行電鉄8000系 特集)など、車両や機器そのものに焦点を当てた後年の記事で初めてその全容が明らかになってきている次第です。

2019年3月14日追記 「電気車の科学」1974年8月号(No.316)(dl.ndl.go.jp) で特集が組まれていました。本文では諸元表や回路図込みで詳しく説明されており、またグラフページではモノクロ写真ながらSIV本体はもとより起動装置などの関連機器も含めて前面蓋を開けた写真が掲載されています。この本、所持しているのに長らく本棚の奥に眠ったままだったのですっかり忘れていました……。