27-MCB台車を履いた東急電車

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東急電車でブリル台車を履いた車両と言えば、創業時のデハ1形や“玉電”の一部にみられたのみで、とくに高速電車用の27-E形や27-MCB形などは無縁でした[1]。ところが、意外なところでブリル台車を履いた車両が現存するのです。

長野電鉄8500系部品車のブリル台車

2005年から長野電鉄に8500系が譲渡されており、現在は6編成18両が活躍しています。それらとは別に8718と8824の2両が運ばれており、未入籍のまま須坂の車庫で部品取りのように使われているようです。この2両の台車が数年前から仮台車に履き替えられているのですが、これが27-MCB形にそっくりの形をしているのです。

もっとも、仮台車なので揺れ枕や枕ばねなどは撤去されており、だいぶ様相が変わっていますが…。

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写真1:デハ8824の長野方台車

各車の長野方(2位側)の台車は電動車用だったようで、車軸には大歯車が残っています。一方、湯田中方(1位側)の台車は付随車が履いていたものなのか、大歯車はありません。また、ガゼットプレートのボルト数が前者は4個、後者が3個であるなど、形態も若干異なります。なお、軸距は実測で約2134mmでした。

長野電鉄で使われた27-MCB台車

これらの台車の来歴を想像してみたいと思います。長野電鉄の車両で27-MCB形台車を履いた車両は、次に挙げる大糸線の買収国電からの譲渡車が挙げられます。

  • 1925年製造: 信濃鉄道デハユニ1→国鉄モハユニ21001→モハユニ3100→クハユニ7100→長野電鉄クハニ61(2代目)
  • 1926年製造: 信濃鉄道ホハ1→国鉄クハ29001→クハ5100→長野電鉄クハ51(2代目)
  • 1927年製造: 信濃鉄道デハ6→国鉄モハ20005→モハ1103→長野電鉄モハ1(2代目)

これらの車両の台車については、こんな記述があります。

1925(大正14)年製はJ.G.ブリル製27-MCB-2形,その他は日車で国産化したE-16形(?)をはいていたが,一部に交換したものもある.

信濃鉄道の電車-初代20系電車ものがたり-(鉄道ピクトリアルNo.709・2001年11月号) より

また、鉄道ピクトリアル2000年4月臨時増刊号の「買収国電(社形の電車たち)」では3両ともブリル製と書かれています。これは信濃鉄道で言うホハ1とデハ6は日車製からブリル製に変更されていた、とも理解できますが、一方で現在8500系が履いている台車に2種類のバリエーションがあることを考えると、実際には何両かは日車製のままであったか、あるいはブリル製を経て再び日車製に履き替えられた車両があったのかもしれません。

いずれにしても、ステンレス車体に界磁チョッパ制御の車両が仮台車とはいえ27-MCB形を履くという珍光景が見られる須坂車庫、あなどれません。

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写真2:デハ8824